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元日本銀行審議委員の木内登英野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストは、日銀が今週開く金融政策決定会合でサプライズがあるとすれば、長短金利操作の長い方の金利を現在の10年から5年に短期化することではないかとみている。
木内氏は16日のインタビューで、「日銀が政策点検をこれほど大々的に予告したのは、必ずしもマイナーとは言えない修正を想定していたからであり、何らかのサプライズを市場にもたらす可能性は捨てきれない」と話した。
日銀は昨年12月に約束した各種施策の点検結果を19日に公表する。金融市場では10年の長期金利の許容変動幅の拡大などさまざまな観測が浮上したが、黒田東彦総裁の 国会答弁や雨宮正佳副総裁の 発言などを経て、大きな修正はないとの 見方が主流になっている。
木内氏は、市場は金利操作対象の短期化を全く織り込んでいないため「実際に打ち出されれば金利、為替などに相応のインパクトを与えるだろう」とみる。可能性は低くても実際に起これば影響が大きいテールリスクとして意識しておいた方がよいと言う。
日銀は長短金利操作を導入した2016年9月の 総括的な検証で、「経済への影響は短中期ゾーンの効果が相対的に大きい」と指摘した。木内氏は操作対象の国債の短期化のメリットとしてこのほか、長期国債の購入を減らし、保有国債の平均残存期間を短縮することで日銀が将来出口に向かいやすくなると指摘する。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)も長短金利操作を 導入しているが長い金利の方の対象は3年だ。日銀が1月20、21日に開いた政策決定会合の主な意見によると、委員から「企業・家計による資金調達のうち長期金利の影響を受けるものの割合は高くないことから、長期金利が変動しやすくなった場合でも経済活動に与える影響は限定的」との声が出た。
木内氏は「5年債利回りの目標をゼロ%にすると事実上の金融引き締めと批判される恐れがあるため、市場実勢のマイナス0.1%程度を中心とするレンジを目標にする可能性もある」と指摘。最近の世界的な長期金利上昇のあおりを受けて日銀の姿勢が慎重化した可能性もあるが、「仮に今回見送られても、将来のために何らかの布石を打つことも考えられる」と言う。
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