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Saturday, January 2, 2021

展望2021:活況のゲーム業界、「巣ごもり」後に試されるソニー・任天堂 - auone.jp

 新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり」需要で活況となったゲーム市場は、来年もその勢いが持続するかが試される。写真はゲームで遊ぶ男性。ロンドンで2018年6月撮影(2021年 ロイター/Tom Jacobs)

[東京 3日 ロイター] - 新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり」需要で活況となったゲーム市場は、その勢いが持続するかが試される。コロナ禍が収束に向かう場合、ソニーや米マイクロソフトと、任天堂とではユーザー層の違いから、巣ごもりの反動の生じ方が異なるとの見方もある。足元では世界的な半導体需要の拡大で部品不足の懸念もくすぶり、今後の課題となりそうだ。

<拡大続ける世界市場>

「自宅で余暇を過ごすニーズが増え、家庭用ゲームの需要は相対的に上がった」と、ゲーム情報メディアのファミ通グループの林克彦代表は、2020年の市場環境を振り返る。

世界のゲーム市場は拡大傾向にある。オランダの調査会社Newzooの10月時点の推計によると、20年の家庭用ゲームのユーザーは前年比約1割増の8億人、市場規模は同約2割増の510億ドル。23年の市場は630億ドルに拡大すると予想している。

ゲーム機「スイッチ」の販売を伸ばした任天堂は21年3月期に純利益で前年比16%増の3000億円を予想。実現すれば「ニンテンドーDS」や「Wii」が好調だった09年3月期以来、過去最高を更新する。

20年の年末商戦には、ソニーが「プレイステーション5(PS5)」、米マイクロソフトが「XboxシリーズX/S」の新型ゲーム機をそれぞれ発売した。ソニーは販売台数で、先代の「PS4」の発売初年度実績である760万台以上を目指すと意気込み、ゲーム事業の営業利益は同25%増の3000億円を予想している。

<巣ごもりの反動>

もっとも、巣ごもり需要による追い風があった2020年との比較では、販売は圧迫されやすい。仮にコロナ禍が年央ごろに収束に向かった場合、影響が出やすいのはソニーやマイクロソフトだろうと、エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは話す。

ソニーのPS5やマイクロソフトのXboxと、任天堂のスイッチとの大きな違いはユーザー層だ。PS5やXboxは、先端技術を盛り込んで、高速・高精細な描画を売りにする。ユーザーはもともとゲームに関心のある人が中心で、巣ごもり局面では、ゲーム機を持っていたユーザーのソフト追加購入やサブスクリプション(継続課金)加入が大きく寄与した。新型機は先代に比べてユーザー数がまだ少ない。21年は大型タイトルの端境期とも見られており、コロナ収束で余暇が減れば、巣ごもりで生じた需要が落ち着きかねないという。

国内では、新型機の出足が先代に比べて鈍いとして先行きを懸念する声もある。ファミ通の調べによると、PS5の発売日11月12日から4日間の国内販売は約12万台で、PS4の発売から2日間の約32万台に及ばなかった。需要がないわけではない。ソーシャル・ネットワーク(SNS)などでは入手困難を嘆くユーザーの投稿が見られ、オークションサイトでは定価を上回る価格で取引されている。

流通が少ない背景についてファミ通の林氏は、市場の大きさに基づいて初期在庫の多くが米国に割り振られたと推測している。「先代のPS4は、北米で発売が先行し、数カ月遅かった日本での発売時には在庫が確保されていた」(林氏)。

出足の鈍さは、中長期的な国内の販売にも影響しかねないとエース経済研の安田氏は指摘する。新型ゲーム機は、発売直後にコアユーザーを多く獲得し、SNSなどでの口コミを通じて裾野が拡大するのが一般的な展開だという。ソニーはPS5の累計販売台数や国・地域別の販売台数は公表していない。

一方、任天堂のスイッチは、ゲームファンからファミリーまでユーザー層が幅広い。スイッチは発売から4年目ながら、ゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』の大ヒットでユーザーの裾野がさらに広がり、あつ森以降も『桃太郎電鉄』や『天穂のサクナヒメ』といったヒットが続いた。

ゲームの面白さに気づいたばかりの新規ユーザーは、新しく手に入れた娯楽となるゲームを、生活スタイルが元に戻ってもしばらく継続するだろうと、エース経済研の安田氏は話す。コロナによる開発の遅れで、発売時期が今年にずれ込んだ大型タイトルも控えているとみられ、「スイッチ本体が頭打ちになったとしても、新作ソフトの拡販効果で増益も可能」(安田氏)との見方もある。

<部品不足の懸念くすぶる>

一方、足元では、世界的な半導体不足の懸念がくすぶる。「個人消費や企業による設備投資のコロナ禍からの戻りが速い」(電子部品メーカー関係者)ことが主因とみられ、ゲーム機は第5世代(5G)通信網に対応したスマホなどと通信チップの奪い合いになる恐れがある。

現行のゲーム機はコントローラーなどの周辺機器がワイヤレス化され、通信チップは欠かせない部品となっている。エース経済研の安田氏は「最悪の場合、ゲーム機の生産が滞るリスクがある。部品の確保も課題になりそうだ」と指摘している。

(平田紀之 編集:久保信博)

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