ASUS JAPANから、液晶一体型デスクトップPCの新モデル「ASUS Zen AiO 24」(A5401Wシリーズ)が登場した。ボディーデザインを一新し、これまでのAiO(All-inOne)シリーズにはない23.8型という画面サイズで、新たにAMD製CPU搭載モデルも用意されるなど、見どころが多い。
ラインアップは、8コア16スレッドの第10世代Core i7-10700Tを搭載した最上位モデル(A5401W-I710700ECO、15万4800円)から、4コア8スレッドのCore i3-10100T搭載のエントリーモデル(A5401W-I310100EC、8万9800円、いずれも直販のASUS Storeでの税込み価格)の5モデルが用意されているが、ここでは唯一のRyzen 7 5700搭載モデル(A5401W-R75700LU)を見ていこう。
左右非対称のユニークなデザインのボディーを採用
もはやビジネスシーン以外でセパレートタイプのデスクトップPCを見かけなくなって久しい。一方の液晶一体型デスクトップPCとしては、コンシューマー向けではNECパーソナルコンピュータの「LAVIE A」シリーズや、富士通クライアントコンピューティングの「ESPRIMO FH」シリーズの他、日本HPやレノボ・ジャパンなどから複数のモデルが用意されている。
このZen AiOは、レノボの「IdeaCentre A」シリーズと同様に、左右非対称(アシンメトリー)のユニークなボディーデザインを採用しているのがポイントだ。コの字型のスタンドはアルミニウム製でがっしりと作られており、背面のインタフェースにアクセスしやすい形状だ。
ボディーサイズは約54.1(幅)×20.2(奥行き)×45.3(高さ)cmと、一般的な23.8型ディスプレイに近い。左右のスイベルには非対応だが、下側に約6度、上側に約24度傾けられる。微妙な位置調整の際もぐらつくことはなく、安定している。
陶器のような手触りのスタンドは、5本のネジを使って固定する。サイズが約22(幅)×20.2(奥行き)cmとゆとりがあり、付属のDVDスーパーマルチドライブ(USB接続)を設置するのにちょうどいいサイズ感だ。
なお、このDVDスーパーマルチドライブはIntel製CPU搭載モデルには付属しない。
8コア16スレッドのRyzen 7 5700Uを装備
搭載するCPUは、TDP 15Wのモバイル向け「Ryzen 7 5700U」だ。Zen 2アーキテクチャを採用しており、開発コード名は「Lucienne」で、8コア16スレッド、1.8GHz〜4.3GHzで動作する。GPUはCPU内蔵のAMD Radeon Graphics(8コア/最大1900MHz)だ。
Zen 3アーキテクチャを採用したRyzen 7 5800Uにはおよばないが、十分に高い性能を発揮してくれるだろう。
続いて、内部スペックやユニークな機能を見ていこう。
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ノートPC向けのパーツで構成
メモリはノート用のDDR4-2666 16GB(8GB×2)を搭載し、ストレージはPCI Express 3.0 x4接続で512GBのNVMe SSDを採用する。Intelモデルには1TBのHDDを内蔵したモデルもあるので、試しに背面のカバーを取り外したところ、空きドライブベイやスロットが用意されていた。
メーカーの保証対象外となるが、いざとなればメモリやストレージの換装/増設作業が行えるのはポイントだろう。
狭額縁のディスプレイでHDMI入力端子も用意
液晶ディスプレイは23.8型で、画面解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)だ。非光沢なので長時間の利用でも目が疲れにくく、視野角も上下/左右178度と広い。黒色が若干浮いている印象もあるが、sRGBの色域をカバーしており写真や動画などの見栄えもよい。
前面下部はファブリック素材で覆われており、harman/kardonの認証を取得した3W+3Wのスピーカーを内蔵する。標準状態のままではややチープなサウンドなので、ユーティリティーの「DTS Audio Processing」を活用しよう。
液晶ディスプレイ上部に、約92万画素のWebカメラとアレイマイクを内蔵している。カメラを隠す物理的なシャッターを備えており、使わないときはきちんとセキュリティを確保できる。また、カメラの位置が上にあるため、ノートPC内蔵カメラのようなローアングルにならず自然な画面映りになるが、解像度はそれほど高くないので、過度な期待は禁物だ。
面白いのは、背面にHDMI出力と入力の各端子を備えていることだ。ここにPlayStation 5/4、Nintendo Switchなどのゲーム機や、AmazonのFire TV Stickを接続すれば、本製品を液晶TVのように活用することも可能だ。
もちろん、ノートPCなどを接続して本製品をセカンドディスプレイとしても扱える。本製品をプライベート用にして、そこに仕事用のノートPCをつなげて在宅ワークで活用という使い方もアリだろう。
左側面にあるスイッチで「HDMIモード」と「PCモード」を切り替えられ、このHDMIスイッチを長押しすることで、PCを起動せずにHDMI入力の画面を表示できる。PCを利用しながら切り替えての使用も問題なく行えるが、音量調整はHDMI入力側のデバイスで行う必要がある。
次に、インタフェースをチェックする。
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無線タイプのキーボードとマウスが標準で付属
インタフェースは、背面と左側面にまとまっている。左側面には上からHDMIスイッチ、USB 3.2 Gen 1 Type-A、USB 3.2 Gen 1 Type-C、3.5mmのマイク/ヘッドフォン兼用端子、電源ボタンが並ぶ。
背面にはギガビット対応の有線LAN、HDMI入力、HDMI出力、DC入力、USB 2.0×2、USB 3.2 Gen 1 Type-Aの各端子が用意される。
無線LANはWi-Fi 5(IEEE 802.11ac)とBluetooth 4.2で、最新スペックの製品と比べると見劣りする。一方、キーボードとマウスは無線タイプで、1つのUSBドングルで共用する形だ。どちらもシンプルながら使いやすく、付属品としては十分に及第点をあげられる。
冷却ファンのモード切り替えや、画面の色温度、ブルーライトの軽減などは同社のユーティリティー「MyASUS」で行う。冷却ファンの動作音はスタンダードモードでも全く気にならないが、より低速で動作するウィスパーモードも用意されている。モードによるパフォーマンスへの影響は、後述のベンチマークテストで確かめる。
最後に、ベンチマークテストで本製品の実力を見ていこう。
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マルチコアの性能を十分に引き出すスコアを記録
ここからは、ベンチマークテストで本製品の性能を確かめよう。
本製品のスペックは、CPUが8コア16スレッドのRyzen 7 5700U」(1.8GHz〜4.3GHz)、メモリは16GB(8GB×2)、ストレージは512GBのNVMe SSD、GPUはCPU内蔵のAMD Radeon Graphicsで、OSはWindows 10 Home(64bit)だ。ファンモードはスタンダードで行っている。
まず、CGのレンダリングスピードからCPU性能を測定するCINEBENCH R23/R20では、マルチコアで8526/3474、シングルコアも1273/493と、8コア16スレッドならではの高いスコアを記録した。
実際のアプリケーションを使ってシステムの総合性能を見るPCMark 10では、総合スコアが4737、Essentials(日常操作)が9388、Productivity(オフィスアプリ中心の作業)が8199と、CPUのパフォーマンスをしっかり引き出せていることが分かる。GPUの性能が影響するDigital Content Creation(コンテンツ制作作業)は5799、Gamingが3051と内蔵GPU搭載モデルとしては十分に高い値だ。
試しに、ファンモードをウィスパーモードに切り替えたところ、総合スコアで5%ほど下がった。Digital Content CreationやGamingでは下げ幅がもう少し大きくなる。スタンダードモードでも十分に静音なので、よほどのことがない限りウィスパーモードに切り替える必要はないだろう。
内蔵グラフィックスの性能を見るべく、3DMarkや「漆黒のヴィランズ ベンチマーク: ファイナルファンタジーXIV」を実施した。
3DMarkではいずれのテストでも統合GPUとしては高いスコアとなった。ファイナルファンタジーXIVでもフルHDで標準品質なら「とても快適」評価となり、ライトなゲームなら十分に楽しめるだろう。
オールマイティーな1台として魅力的な選択肢
ASUS Zen AiO 24シリーズは、Core i7-10700TやCore i3-10100Tといった第10世代Coreモデルも用意されているが、こと性能面では本製品が有利だ。オフィススイートのMicrosoft Office Home and Business 2019がセットで14万9800円(直販のASUS Storeでの税込み価格)と、手堅くまとまっている。
これ1台を購入すれば、追加投資を必要とせずにWeb会議やオンライン授業、仕事からゲームまで幅広い用途で活用できる。HDMI入力を生かせば活躍の幅はさらに広がるはずだ。
標準で1年間の国内保証が付くのに加え、購入後30日以内にMyASUSから登録作業を行うだけで保証対象がグッと広がる「ASUSのあんしん保証」が適用される。
さらに、5月31日までの注文分は通常有償となる「ASUSのあんしん保証プレミアム」3年パックに無料でアップグレード可能だ。
ノートPCのように持ち運びや引き出しにしまうことはできないが、優れたCPU性能を筆頭に、幅広い用途でそつなくこなせる大画面PCとして、選択肢に加えてほしい1台に仕上がっている。
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