『マッドマックス』の世界まで3、2、1…。
米最大の石油パイプラインであり、東海岸のガソリン&ディーゼル輸送量の45%を担う生命線の「コロニアルパイプライン」が、ロシアのハッカー集団「DarkSide」に攻撃されてダウン。
身代金要求型マルウェア(ランサムウェア)を制御システムに仕込まれて機能麻痺に陥っていることが週末明らかになり、沿線一帯ではホワイトハウスが再三制止するのも構わず、国民が我も我もとガソリンの買い占めに走り、給油所1万カ所以上でタンクが底を突く事態となっています。
「金が目的であって、社会に混乱をもたらすことではない」とハッカー集団は声明を発表しましたが、現地ではガソリン価格が高騰し、車は長蛇の列です。割り込まれた車と割り込んだ車が乱闘になったり…十分混乱しています!
最新の映像をご覧ください。
Drivers in the Southeast formed lines to fill up tanks from the dwindling number of retail gas stations with fuel to sell, disregarding government pleas not to hoard as the Colonial Pipeline shutdown entered a sixth day https://t.co/xLWosajE2kpic.twitter.com/LIggDK36xU
— Reuters (@Reuters) May 12, 2021
GS店員さんは「4,000ガロン(約1万5000リットル)以上が3時間で売れました。レギュラーガソリンはもう完売ですね」とコメント(0:18~)。取材キャスターも「夜到着したガソリンが飛ぶように売れています! 向かいのガソリンスタンドはもうゼロです!」と言っています。
ジェニファー・グランホルム米エネルギー省長官は記者会見で「買いだめする必要はありません。パンデミック初期のトイレットペーパーと一緒ですね」とクールに微笑んでいますが、こういうとき政府高官は、状況がヤバければヤバいほど「キュウリのようにクール(as cool as a cucumber)」に振る舞うものだってアメリカ人はホラー映画で知ってるので、「こりゃホントにヤバいぞ」と不安は募るばかりです。
稼働停止も6日目に突入すると、実際あちこちのコンビナートも空になったと報じられ始め、4州が緊急事態宣言を発令。アメリカン航空なんかは、通常ルートでは飛行できないため、給油のストップオーバーができる迂回ルートに急きょ路線を変更したりと対応に追われています。
まあ、トップニュースは「1.6国会占拠でトランプ前大統領に弾劾票を投じたチェイニー議員総会議長が、下院ナンバー3の座を追われた」という話がメインで、あんまりパイプラインの話を朝から晩まで…ということではないのですけどね。パニックパニックと報じるとパニックが増幅して、ハッカーの要求する身代金が釣り上がるばかりだから、こういうときには敢えて違うニュースで穴埋めするのがリスク管理の鉄則なのかもしれません。勉強になります。
ハッカー集団は水曜、新たに3社に攻撃を仕掛けたとダークウェブの自サイトに社名を公表しました。公開されたのは窃取したデータのあらましであって、生データは含まれていません。裏が取れない話なので実名報道は皆さん控えていますが、CNBCによると「1社は米イリノイのテクノロジーサービス企業(600GB分のパスワード、財務・人事情報)、1社はブラジルの再生エネルギー関連(400GB分の顧客部外秘情報)、最後の1社はスコットランドの建設会社(600GB分の連絡先・過去3年分の事業・個人情報)」とのこと。それほど大きな企業ではないので、パイプライン騒動がなければニュースにならないような規模らしいです。
気になるのはコロニアルパイプラインの身代金ですが、具体的な金額は明らかにされていません。…と書いている矢先に、再稼働になったと先ほどコロニアルパイプラインから発表がありました。うわあああ、良かった…! 平常運転までには時間がかかりますが、ひとまずホッ。
からの記事と詳細 ( 米最大の石油パイプラインハックでガソリンパニック買い、1万以上の給油所でタンクが空! - GIZMODO JAPAN )
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